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本駒込の紅葉

もみじの枝が幹からいくつも交差しているようすが、広重が描いた作品の構図に似ています。燃えるように暑い夏が終わって気温が下がり始めると、葉はオレンジや赤、黄、茶色の鮮やかな色に様変わりします。紅葉の壮大な景色は、何世紀にもわたって芸術家や詩人にインスピレーションを与えてきました。 東京の中心にある六義園から見えるこの光景は、自然と都市の結びつきがいかに強いかを物語っています。
脚注
紅葉狩りとは、秋のさわやかな空気の中を、赤や黄色に彩られた木々を散策しながら楽しむことを言います。この行事は、8世紀末の平安時代の貴族の間で広まり、武士の時代や14世紀の室町時代になると、宴席を開いたり、紅葉を眺めながら和歌を詠むようになったといわれています。長い戦争が終わり、日本に平和が訪れたタイミングの18世紀中期には、庶民にまで広がりました。伊勢を訪れたり、熊野参りが盛んになりました。
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