名所東京百景

歌川広重『名所江戸百景』より
『東京百』は、広重の作品の160年後を辿ったプロジェクトです。現代的な表現方法として写真を使い、現代の文化的特徴やシンボルを入れ込んだ広重の作品を通して、東京の最先端をめぐる旅路へと誘います。
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歌川広重

『名所江戸百景』は、現代の東京を知るための大切な指針

『名所江戸百景』は、現代の東京を知るための大切な指針 歌川広重の最後の傑作『名所江戸百景』は、新緑の風景から退廃的な歓楽街まで、19世紀の東京を映した木版画旅行であり、浮世絵伝統の宝です。 1860年代の江戸のあり方や文化を、空間や季節感を利用しながら高尚に物語る広重の作品は、すぐに世間にも知れ渡って成功を収め、地元のみならず、ヨーロッパの作家のインスピレーションともなりました。『名所江戸百景』の構図は、今でも、現代都市の視覚的な指針を組み立てる大切なツールとされています。

季節と天気

四季を通して美しく様変わりする東京

広重の作品は、春 (1-42)、夏 (43-72)、秋 (73-98)、冬 (99-119) という、四季のルールに倣って編成されています。そしてこの中には、広重によって描かれたものと、広重の義理の息子で弟子、二代目広重によって描かれたものが含まれています。『東京百』の写真作品は、広重の作品と同じような気象条件下での表現ができるように、季節は同じ時期で、一日の中の同じ瞬間で撮影されました。

Film photography

消えゆく表現手法

文字通り「浮かれた世の絵」を意味する浮世絵は、17世紀に始まった日本の有名な木版画のことです。また、西洋世界が持っている、いわゆる日本のビジュアル的特徴と同義でもあります。『名所江戸百景』はおそらく、近代の表現形式として写真というものが普及する前の、最後で最高の木版画代表作品でしょう。フィルム写真もまた同じように、デジタル画像に取って代わられてきており、『東京百』は、そんな広大な世界の探検を創り出す、最後の試みのひとつとなっています。 技術的な点では、フィルム写真には版画と同じく、画像を縁取る余白部分があります。これは、ネガを現像するプロセスから生じるものです。”

Modern topics

江戸と東京をつなぐ、新旧の伝統

『名所江戸百景』に収められた119のどの作品も、1860年代の江戸を詳しく説明しています。一枚一枚に特別な意味を持つシンボルやメッセージが組み込まれていますが、一方で、技術的な一貫性を保つことで、作品全体をとても調和のとれたものにしています。このオリジナルの作品一枚一枚の目的を慎重に解読し、現代的な見解における制作には何が必要となるのか、重要な要素を研究してきました。『東京百』の作品は、日々の生活や受け継がれていく行事、季節の祝い事などを通して、東京の街を物語っています。すべて、広重が作品に使用したのと同じスタイルを保ちながら表現しました。

Original composition

驚くほどモダンなスタイル

広重は、江戸の暮らし、エンターテインメント、美しい女性、歌舞伎役者や名所を描きました。 浮世絵の欧米での影響はジャポニスムと呼ばれ、印象派の絵画から今日の漫画やアニメに至るまでいろんなものに見られます。『東京百』の作品は、広重作品の魅力である遠近法を使った構成や、その色彩にインスピレーションを受けています。『東京百』が、時代を超えて人々を魅了する「江戸&東京」の旅路へと誘います。